山荘の中に入る。きれいなトイレで用を済ませ、売店のジュースでのどを潤す。ぶひぃ~、つかれたなぁ~。出発から3時間足らずでもう疲れてしまった。今日はまだ5時間も歩かにゃならんというのに・・・。情けないことよ。つーかたどり着けるかなぁ。
8時22分、雲ノ平に向け出発する。外に置いておいたザックはアブがとまりまくっていた。アブやらブヨやら多いわ、ほんと。
三俣蓮華方面へのルートを望む。一昨年の夏はあの雪の上を歩いて、三俣蓮華ー丸山ー双六を経由して双六小屋まで歩いた。
沢沿いの道を下って行く。けっこう下るねぇ。
下っている途中、前方に急登の登山道が目に入る。「ん???」
ひょえーあそこを登るの?!め
ちゃくちゃ急登やんけー!!!
急登は嫌だけど真っ青な空。天気だけは最高だ。
いい眺めだ。
谷の底まで下りてきた。あの石標は
地図にも載ってる黒部川源流の碑であった。でも、どこが源流なんだ???目の前には沢が流れてるけど源流ってなんつーかこう岩の隙間からちょろちょろ流れ出てくるイメージなんだが。
なんつーか源流と呼ぶにはいささか流れが太いような気が・・・。
ここは岩苔乗越と雲ノ平との分岐点でもある。
ここを渡ってから
あのてっぺんまで登り返さねばならん。
おぉ~登ってる人がいるねぇ。
というわけでロープを渡された沢を渡る。時刻は9時03分。雲ノ平の小屋までコースタイムは2時間20分。このペースでいけば到着時間は11時30分くらいになりそうだ。
この上流にほんとの源流があるんだろうなぁ。
「・・・。」言葉が出ん。
おぉ~さっきの人たち、あんな上まで行ってるわ。つーか僕もあそこまでいかねばならんということね・・・。
景色はいいんだがこの急登しんどすぎる。
ぶひぃ~苦しいー!!!上から2人組のパーティーが降りてきた。雲ノ平から来たそうだ。雲ノ平方面に向かってる人は多いですかと聞くと「2組とすれ違っただけだねぇ。」とのこと。え???そんなもんなの???ちょっと不安になった。前のパーティーに追いつきたいなぁ。
振り返る。自分の歩いてきたルートを見下ろす。その向こうには三俣山荘と槍ヶ岳。
いやはやいい眺め。つーか三俣山荘ってあんないいところに建ってたんだな。
高度を上げるにつれ槍がニョキニョキ生えてくる。
ほぇ~。きつすぎてすぐに足が止まる。源流の碑から日本庭園までコースタイムは1時間20分。しかし今の僕は・・・
高度があがるたびに息も上がる。ここを登るだけで1時間くらいかかりそうだ。
止まってばかりでちっとも先へ進まない・・・。
ほぇ~やっとこさ登りきった。時刻は10時03分。ほんとに1時間かけてしまった・・・。
チングルマ
可憐だねぇ。
前方に残雪が。
ここが第一雪原か。地図では「迷」マークがついてるけどもっと雪が多くてガスってたら確かにここは迷いやすいわ。
後ろを振り返る。いい景色だ。本日3日目。幸せだ。
右手には緑に覆われたなんだか存在感のある山が。
ワリモと鷲羽。たぶん。
このだだっ広い場所。たぶん第二雪田だ。
おぉ~五郎さん!!!
この第二雪田。まったく雪がないので賽ノ河原みたいだ。
右手の山。なんか阿蘇の草千里の烏帽子岳みたいだな。
お花畑と五郎さん。
第二雪田で先行パーティーを追いこした。でもすぐに追い越される・・・。
おぉ~雲ノ平山荘が見えた!!!
木道が現れた。よぉ~しここまでくればもう少し。
雄大だ。最後の秘境にやってきたんだなぁ。
よく見るけど名も知らん花が咲き誇る。
でっけー山だな。
祖父岳との分岐。地図を見てもしやと思ったけどやっぱり祖父岳だったか。山行の計画を立てる時、祖父岳・祖母岳に登るか否かというのを考えた。せっかくここまで来たんだ。もう二度と来ないかもしれない。なら登るべきか・・・とも考えたんだがいかにゆーても今日は四日間の山行で一番のロングコース。おそらくこうなる(コースタイムですら歩けず薬師沢小屋までたどり着くので精いっぱい)だろうと予想はできたのでこの二座は泣く泣く外すことにした。実際この二座どころか通常のコースを歩くだけでもヘロヘロのプ~である。
よぉ~し、もうすぐだ。
あのでかい山、よく見たら水晶岳ではないか!!!あの水晶岳をこんなに間近に見られるとは。水晶岳って僕的には非常にレアな天然記念物みたいな山なのでこんなにあからさまに見えちゃっていいんだろうかという気持ちである。
しかしこの後 向かいからくるおじさんとすれ違った後、プチ道迷い状態に陥ってしまう。ザレザレの道を一人歩いていると「ん???」なんとGPSのルートから北側へそれたところを歩いているではないか。「なんじゃこりゃ???」方向的にはあってるんだがさっきまで見えていた雲ノ平山荘が見えない。両線の反対側にあるんだろうがここからは見えない。「え?どういうこと???」ここに来るまで分岐なんかなかったはずだし、これまでの経験上GPSのルートからそれているときは100%道を間違えている。多少の誤差はあるとはいえこのパターンは道を間違えている可能性が高い。小屋が見えてからすぐにつくだろうと思っていたのになかなか小屋に着かないしただでさえコースタイムよりも遅いペースである。こんなところで迷っている時間はない。一つ頭に浮かんだのは祖父岳の分岐あたりで「キャンプ場に降りる道は植生保護のため通行止め」という注意書きがあった こと。でも通行止めなら分岐じゃないし地図で見る限り道は一本しかない。とりあえず先に進むことはやめて引き返すことにした。水晶岳の展望台みたいなところまで戻れば小屋までのルートも見えるだろ。ということで来た道をえっちらおっちら引き換えし水晶の展望台みたいなところまで戻ってきた。しかし・・・分岐なんてどこにもねーぞ。道を聞こうにもだーれもいないし・・・。どうしたもんかと困っていると前から一人のおっちゃんが歩いてきた。おぉ~ラッキー。おっちゃんに「ここまでに分岐ってありましたか???」と聞くと「え???」みたいな顔をした。おっちゃんに「どちら側から来たの?」と聞かれ「雪田のほうからなんですけど」と言うと「私が見た限りはなかったけどなぁ」とのこと。このおじさんも雲ノ平の小屋方面へ向かうというのでついて行くことにした。僕がこんなことを言うのでこのおじさんも「この道しかないんだけどなぁ」とちょっと困惑しながらもガレガレの道へと進んでいった。このおっちゃん、水晶方面からやっていて祖父岳に登って下ってきたところらしい。今日は雲ノ平山荘に泊まるか薬師沢まで下るか考え中とのこと。
おっちゃんと進んでいると稜線の反対側に出た。すると「おぉ~」ガレガレの道から木道が現れた。よ~し、この道で間違いねぇ。つーかGPSとはまだずれてるけど。つーか多分どこかで合流するはずだ。たぶんGPSに落としたルートはキャンプ場を突っ切るルートだったんだと思う。てゆーか山旅倶楽部の地図でルート作ったんだけどその辺の情報は入ってなかったんだな。
いや~イメージ通りの雲ノ平の景色だ。
前を行くおっちゃん。
楽園だねぇ。
相変わらず水晶がずどーん!!!
スイス庭園へ。この先は行き止まり。よく考えたらルートを作るとき近道で作ったのでこの辺は通る予定じゃなかった。それを考えたらキャンプ場を通る道が通行止めと見た時点でルートから外れるのを気づかなきゃいけなかったな。まぁあそこが通行止めだったからこの雲ノ平の〇〇庭園シリーズを全部まわることができるな。ただ遠回りなうえに道迷いしたからめちゃくちゃ時間をロスしたけど・・・。
いい景色だ。しかし時刻は11時49分。祖父岳の分岐からカウントしてももう小屋についてないといけない時間だ。
小屋が見えた。つーかまだまだ遠い。
キャンプ場からの道との合流点。
やっぱりな。僕はGPSにキャンプ場を突っ切るルートを落としていたことがはっきりした。
もうコースタイムがどうこう言う時間じゃなくなってるぞ。つーかもうヘロヘロだ。もう雲ノ平小屋に泊っちゃおうかな。しかしそれだと明日の行程が長くなるなぁ。明日は絶対にバスの時間までに下山しなければならない。それを考えたら今日は薬師沢の小屋まで下りておくべきなんだよねぇ。
そんなことを考えながら咲き誇る花々を眺める。
どうしよっかな~。
泊まっちゃおうかな~。明日頑張るか・・・
振り返る。天気も最高だしほんと楽園だ。
ここでのんびりしたい気もする。
う~む、とりあえず小屋についてから考えよう。
やっとこさ小屋に到着。はぁ~ほんと疲れた・・・。時刻は12時06分。黒部五郎の小屋を出発したのは5時24分。ここまで6時間42分かかった。コースタイムは5時間45分。おいおい1時間押しじゃないか・・・。このまま進んでも薬師沢の小屋につくのは14時半過ぎ。つーかもうヘロヘロでコースタイムで歩くのは無理。しかもここからはこの旅で一番の懸念材料である薬師沢への下りだ。とにかくここで休んでからどうするか決めよう。