なんか敗北感がぬぐえないけどとにかく歩き始めた。熊鈴は持ってるけどそれは使わずラジオで高校野球を聞きながら行く。あたりに人はいない・・・こともないけどそれほどすれ違う人も多くはないので「クマよけでーす!!!」のていで行くことにした。少々うるさいかもしれんがまぁ許してくれ。
歩くこと15分。見晴新道との分岐にやってきた。
ロープが張られ通せんぼ。尾瀬ヶ原を歩いていたら土石流とか全然想像できんのだが。つーかこんなことになってなけりゃ至仏と燧ケ岳のWゲットができたというのに・・・。
恨めしい気持ちで先へと進む。高校野球の方は早実がワンサイドで勝ってる。ほんとはこの枠は我が母校が試合をしていてもおかしくなかったんだよなぁ。ちなみに今日は6時20分で入場制限がかかったらしい。こりゃ行かなくてよかったな。
沢を渡る。尾瀬はこの水が豊かな湿原を育んでいる。
しばらく行くと道がゴロゴロの岩岩となる。なんか昨日の鳩待峠からの尾瀬ヶ原とは違ってこちら側は少々ワイルドだ。
白砂峠に到着。時刻は10時15分。コースタイムは1時間45分だから30分ほど巻いてるな。
木道が終わると再び道はゴロゴロの岩岩へ。
湿原に出た。今日は朝から樹林歩きだったからなんか開放感がある。
とはいえ確実に尾瀬ヶ原から遠ざかっている。こういう景色を見るのもここが最後かもしれない。
広いなぁ~。カメラの画角が狭いのでこの広さを伝えられない。
こういう池沼も尾瀬って感じでいい。今度は家族で来たいな。
再び沢を渡る。水がめちゃくちゃきれい。
10時38分。沼尻休憩所が見えた。コースタイムは2時間10分。ここまでの所要時間は1時間38分。8掛けペースで歩けている。 ふと見ると草原の中を歩く3人パーティーが目に入った。
どこに向かっているのかと地図を見ると・・・「おぉぉぉぉ~!!!」
なんと彼らはナデッ窪を通る燧ケ岳へのルートへと向かっていた。「なぬ!?こんな時間からでも行けるのか???」
急いで地図のコースタイムを計算する。ここからだと6時間20分だ。単純計算で御池には17時の下山となる。東京に帰るには16時30分のバスに乗らねばならない。しかしコースタイムの9掛けで行ければ16時20分に下山できる。う~む、ギリギリだ。
本気で思い悩んだ結果やっぱり行くのはやめた。つーか2時間早く出発してればなぁ~と思ったが後の祭りである。テン場で「今日はもう行かねぇ」と判断したんだから今更悔やんでもどうしようもない。とはいえなんとももやもやの残る結末である。
このジャンクションを左に向かえば燧ケ岳へとつながる。なんともやりきれない思いだ。
少々凹みながらも沼尻休憩所へ向かう。
なんかえらい開放感のある小屋だな。
ここで尾瀬沼が姿を現す。
ここから先、どうするか。選択肢は2つ。沼の北側をぐるっと回って尾瀬沼山荘を目指すか南側を行くか。ちなみに南側を行くほうが15分ほど近道だ。
ま、とりあえず休憩しながら考えよう。
中からは皆さん絶景を写真におさめる。
パシャ!!!みなさんこの景色を撮っていらっしゃるのだ。
今回は事前に準備をすることの大切さを身をもって思い知ったわ。
それをしなかったために今回は尾瀬を歩くハイキングになってしまった。
まぁ気持ちを入れ替えよう。というわけでなめこ汁を注文。これがまためちゃくちゃうまかった。
しばらく休んでいるとナデッ窪方面から男女の2人パーティーが下りてきた。見るからに健脚そうな何ならトレランやってます的なカップルである。ナデッ窪のルートがどんなもんなのかめちゃくちゃ気になるので男性のほうに話を聞いてみた。すると御池からの登りはぬかるんでたり滑りやすかったりしたけどコースタイムよりも早く登れた。しかしナデッ窪の下りはきっちりコースタイム通りかかった。休めるような平地がないしまったくもって気が抜けない下りがひたすら続く。飛ばそうにも飛ばせなかった・・・とのことである。う~む、やっぱりそうか。この人がそうなら僕なんて全然だめだな。コースタイム3時間の登りだけどそれ以上かかるかも。やっぱあの時間から向かうのは無謀だったな。まぁ今回はすっぱりあきらめよう。
休憩を終えて再出発。考えた結果、沼の南側を行くルートにした。
左手に尾瀬沼を眺めながら歩く。尾瀬沼、なかなか雄大だ。
ひたすら尾瀬沼とお付き合いしながら歩く。いいねぇ。何の心配もない散歩道だ。
湖畔・・・いや沼畔に降りる。なかなか水はきれいだ。
ほんとは今頃あのてっぺんにいたんだよなぁ。
てっぺんには人の姿が。いや~ご立派です。
木道が崩れて通行止めになってるところもある。でも全般に歩きやすい道だ。
なんか天気が怪しくなってきた。この先まだコースタイムで2時間半以上あるぞ。
なんか東電関係っぽい小屋を通過すると
まもなく尾瀬沼山荘に到着した。時刻は12時06分。コースタイム3時間35分のところを3時間06分。沼尻休憩所での休憩時間が響いてます。皆さま昼飯を食っておりますが遅れを取り戻すべくそのまま突き進む。
目指すは大清水。ひょえ~まだ7kmもあるのか。
歩くこと19分、三平峠に到着。つーかこちら側の尾瀬の入り口は鳩待峠側よりもずいぶんと観光色が薄くハイカーの領域って感じだ。
ここから先はもう尾瀬って感じはしない。ここで尾瀬は終わり。どんどん尾瀬から遠ざかる感じだ。しかし7kmねぇ~。遠いなぁ。
「まだかぁ~」といい加減疲れた体に鞭打って歩くこと47分。登山道から林道に出た。ただ疲れたといっても歩き始めて4時間余り。情けねぇ・・・。
おぉ~やっとこさ一之瀬に到着。
一之瀬の休憩所。ここまで4時間15分。コースタイムは4時間55分。まぁ今の自分ならこんなもんか。
ここから先は未舗装の林道なんだが旧道というのがあって僕の先を歩いてた人がこの旧道へと入っていった。僕も行こうか行くまいか迷った末、行くことにした。迷ったというのもこの旧道というのがなんとも薄暗く少々気味の悪い道だった。まぁこの時、空は暗い雲に覆われ今にも雨が降りそうな天気というのもあってそう感じたのかもしれない。僕の後ろから来た2人組は迷った末に休憩所へと向かっていった。ここから大清水まで通じているということなんだがこの旧道、ところどころぬかるんでいて非常に歩きにくい。
それでも我慢して歩いていたがとうとう我慢しきれなくなって林道へ上がった。疲れた足には未舗装の砂利道は優しくなかったけど結局そのまま大清水まで林道を下った。
途中何人かに抜かれた。引き離されないよう何とか食らいつこうとしたけど差はじわじわと広がりやがて視界から消えていった。
14時07分、やっとこさ大清水までたどり着いた。たった5時間余りの道のりであったがへろへろのプ~である。ここまでの所要時間は5時間5分。コースタイムは5時間55分。一ノ瀨からはきっちりコースタイム通りの1時間かかった。
無事に大清水までたどり着きホッとしながらまずは蛇口の水で靴を洗う。その後休憩所でバスの切符を買ったり土産物を見たりしながら時間を過ごす。
そして上毛高原行きのバスがやってきた。
前からもパチリ。
バスは上毛高原に向け出発。そして走ること12分、戸倉に到着。風呂に入るためにここで下車。
するとそこには新宿行きのバスが停まっていた。時刻表とかを見るとこれに乗ると沼田で電車に乗り継ぐよりも安くて速い。風呂に入るために下車したんだがそれをやめてこれに乗るべく切符の窓口に向かう。しかし「今日は満席です」との答えが。やっぱそうだよな。今日はお盆だもの。
というわけで潔く高速バスはあきらめ隣接する温泉「尾瀬ぶらり館」へ。空いてるお風呂でさっぱりするとやっぱりその後はお約束のマッサージ機だ。15時12分のバスに乗る予定だったけどそれではあまりに忙しないので16時02分の便にずらしマッサージ機でたっぷりと疲れをほぐしていた。
ほんとはもっとゆっくり施設の見学とかしたかったが時間はあっという間に過ぎバスの時間となった。というわけで沼田駅行きのバスに乗り込む。これでほんとに尾瀬ともお別れだ。山行自体は行き当たりばったりでまさかの燧ケ岳に登れずという結果になったけどまぁどうにもならんわな。ひとまず尾瀬を堪能したということで燧ケ岳にはまた来年、会津駒ケ岳とセットで登ることとしよう。
途中鎌田での時間調整を利用して車外に出る。なんかこういうところは心が落ち着くわ。そしてバスは終点の沼田駅に到着。いや~旅の終わりが近づいてるなぁ。
残された時間を待合室で静かに過ごし高崎行きの列車に乗車。現実の世界へと戻っていく。高崎からはグリーン車に乗ろうかと思ってたけどグリーン券の機械の前で買うのに慣れていない人がちんたらしてたせいでグリーン券買えず。ロングシートに肩を寄せ合い東京へ。東海道線直通なんで新橋まで乗り換えなしで帰れる。上野で乗り換えにゃならんかった時代と比べるとはるかに便利になった。上野から先の停車駅が東京だけである。時間も早くなったしな。というわけで77座目の百名山、至仏山の旅は終了。ほんとなら78座に登ってたはずなんだがまぁしょうがない。あとは皇海山、悪沢岳、赤石岳で80座に乗せよう。 おしまい