「ピピッ！ピピッ！」目覚ましが鳴る。午前３時50分である。眠いし体が重い…。当たり前だ。３時間しか寝ていない。しかし行かねばならぬ。続きは電車の中で寝よう。ギリギリまで寝てたのでバタバタだ。４時３７分の電車に乗る。次の４時５３分でもいいっちゃいいんだが上野での乗り換えが4分しかない。ここは大事をとって一本早いので行きたい。にもかかわらず家を出たのは４時21分。ギリギリの時間である。家を出た瞬間「暑ちぃ・・・」熱帯夜の余熱というべきかすでに蒸し暑い。かぶっていた帽子を早くも脱いで手に持つ。しかしこないだまでこの時間ならもう明るかったと思うんだけどな。今はまだ夜明け前といった感じである。夏は確実に終わりへと向かっているようだ。
田町の駅へ向け急ぐ。だが背中には計ってないけど２０キロ弱のテント泊の装備が…。寝不足の体ではとても走れん・・・。しかしこの一刻の猶予もない場面でトラブル発生。なんとデジカメを忘れてしまったのだ。忘れちゃいかんと思ってザックの横に置いといたんだが見事に忘れてしまった。取りに帰る時間はない。念のためピーコックの前のバス停のベンチでザックを確認。うぉ～やっぱりねぇ～！！！しかしというか幸いというか星撮り用にOLYMPUSのを持ってきていた。首から下げるにはでかくて重いがやむを得ない。一泊二日だからバッテリーも大丈夫だろ。しかし更なる知れんが僕を襲う。「うぉ～ＳＤ入れてなかったー！！！」なんかＳＤがどっかにいってしまい家に忘れたデジカメのを共用しようとしていたのだ。繰り返すが家に帰ってる時間はない。くそぉ～。今時ならSDくらいコンビニでも売っとるかもしれん。それにかけることにして田町の駅へと向かう。そして途中にあるサンクスに飛び込みSDを探す。すると「うぉ～あったどー！！！」値段は高いが今はもう金がどうとか言ってる場合ではない。SDの写真のついた紙のカードを持ってそっこーレジへと向かう。しかし普通の商品の扱 いと違うのかレジのおっちゃんがそのまま奥へと引っ込んでいってしまった。既に３７分の電車には間に合わない。５３分のには是が非でも乗り遅れるわけにはいかん。奥から再び出てきたおっちゃんが今度は違うバイト君に「これの鍵ってどこにあるの？」とか聞いている。「むきぃ～！どうでもいいから早くしてくれー！！」
やっとこさSDを手にいれたところでさらに試練が襲いかかる。「うきょー帽子がねぇー！！！」手に持ってた帽子がいつの間にかなくなっていた。出てくるときにごみを捨てたからその時一緒に置いて行ってしまったのか？？？はたまたカメラの確認をしたときにピーコックの前のバス停のベンチに置いてきてしまったのか？？？
帽子なしではさすがにきつい。登山口とかで売ってるかもしれんがお気に入りのアディダスのキャップである。このままあきらめるわけにはいかない。半べそをかきながら今来た道を戻っていく。もし５３分の電車に乗り遅れたらどうにもならん。あの電車に乗っても登山口の鳩待峠に到着するのは１０時。これ以上遅くなっては非常にまずい。ピーコックの前のベンチを目指しながら「もしベンチになかったらどうしよう。家まで戻らにゃならんのか？？？つーかそうなりゃ完全に間に合わん。新幹線で高崎（もしくは上毛高原）まで行かねばならんのか・・・。つーか金ねぇよー。」
いろんな思いが錯綜する中、ベンチに戻る。すると「おぉ～あったー！！！」
件の帽子はベンチの下に落ちていた。いや～よかった・・・なんて思っている暇はない。時刻は４時４３分。電車まであと１０分しかない。さすがにちんたら歩いていくわけにはいかない。寝不足の体に鞭打って駅まで走る。駅には４時５０分に着いた。下車する沼田駅がSUICAが使える駅かどうか覚えていないので切符を買う・・・つもりだったが券売機で買える範囲を超えている。仕方がないので券売機で買える一番高いキップを買ってホームへと急ぐ。間もなく列車が滑り込み僕も乗り込んだ。額からは玉のような汗が次から次へと噴き出した。